マイクロファイナンス解体新書 世界の貧困層を救い、なおかつ持続可能なビジネスを行う
マイクロファイナンスの仕組みと可能性について

相互扶助組織とマイクロファイナンスの違い

マイクロファイナンスは、貧困層を援助する為の金融システムということです。しかし、マイクロファイナンスの登場以前から、世界の各地域では、貧困層の人達がお互いに助け合う「相互扶助」の仕組みを作っていた歴史があります。

例えばメキシコでは、低所得層の人達を中心に「タンダ」と呼ばれる相互扶助グループを形成していることが知られています。タンダは、親戚や近所の友人など親しい人達が集まり、お互い余裕のある時にお金を出し合ってプール金を貯め、病気や子供の就学などで必要になった人が、その都度受け取れるという仕組みです。

典型的なラテン思考のメキシコでは、低所得層の人に「貯蓄」という概念は皆無で、その日暮らしの生活を送る人々が大多数です。にも関わらず、彼らがそれなりに生きていけるのは、このタンダがあるおかげだと言われている位です。

同様の相互扶助組織としては、日本では「頼母子講(たのもしこう)」というものが、鎌倉時代頃より存在しています。頼母子講は、数人〜数十人の村人がグループを組み、定期的に一定額ずつお金を出し合い、不慮の事態でお金に困った人が、その都度受け取れるという仕組みです。

頼母子講に通ずるシステムとして、現代でも沖縄に「もあい(模合)※注」という仕組みが根付いています。沖縄では、本土に比べて金融システムが遅れていたので、人々が自主的にお金をプールして、有事に備える仕組みを作り上げていたのです。もあいは現在でも続いており、沖縄の文具屋などへ行けば「模合帳」が販売されています。

タンダやもあいの問題点

このように、貧困層の人達にも、昔からお金を融通し合う仕組みは存在していました。にも関わらず、彼らの生活は豊かになった訳ではありません。

それは、相互扶助グループの問題のほとんどが、出資者と受け取る人達が同じであることに起因しています。マイクロファイナンスでは、お金の出し手である機関と、融資を受ける貧困層のグループとは、完全に別の人達です。グループ内では、皆が揃って返済することで、利息が下がったり融資枠が広がったり等のメリットがあるので、グループ内での利害は完全一致します。

ところが相互扶助組織では、毎回誰か一人がお金を受け取れますが、それ以外の人はお金を出し続けるだけなので、順番が遅い人ほど不満は高まります。また、貧困層が持ち寄れるお金の絶対額が知れているので、受け取る人の希望する金額に満たない場合も多いです。何より、地震や凶作などの天災が起きれば、グループ全員が一斉に同じ窮地に立たされるので、相互扶助が機能しないという致命的問題も抱えています。

さらにいうと、相互扶助組織は大抵男性中心に構成されるので、祭りや飲み食いで散財するなど、プール金が無駄遣いされる傾向も少なくありません。一方でマイクロファイナンスは、借り手の大半が家計を預かる女性達なので、消費も返済も計画的に行う傾向が強いので、破綻しにくいのです。

タンダや頼母子講では貧困は無くならず、一方でマイクロファイナンスによって貧困から脱出できた人は、沢山出てきました。低所得の人達が寄り集まった所で、出来ることは限られていますし、内輪での利害対立も出てきます。貧困の連鎖を断ち切る為には、十分な資本と指導能力を有したマイクロファイナンス機関が、彼らの手助けをすることが不可欠なのです。

※注:もあいは沖縄の方言では「ムエー」に近い発音です。


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