マイクロファイナンス解体新書 世界の貧困層を救い、なおかつ持続可能なビジネスを行う
マイクロファイナンスの仕組みと可能性について

ICICI銀行のマイクロファイナンス制度

経済発展著しい「BRICs」の一角に数えられるインドですが、一人当たりGDPは1000ドル弱と、中国の1/3、日本の30分の1以下という水準です。11億人を超えるの人口のうち、一日1ドル未満で生活する「絶対的貧困層」が4億人以上を占めると推計されています。

そして元来、インドの貧困層は資金が必要な際、月利が10%にも及ぶ闇金融から借りざるを得ないという実態がありました。政府もその状況を改善すべく、例えば銀行に対して「全体の25%は農村部に支店を構える必要がある」等の法律を設けるなど、様々な対策を行ってきました。

多くの銀行は、農村部の事業展開では収益は見込めず、単なる社会貢献活動としか考えませんでした。そのような状況下で、農村部での融資活動=マイクロファイナンスでも収益を上げれることを証明したのが、インド第二の民間銀行であるICICI銀行です。

ICICI銀行の融資制度
活動国 インド
担保の有無 無担保融資
連帯責任 15〜20人の自助グループを組む連帯保証制
融資金額 一人12500ルピー(250米ドル)
グループの返済実績に応じて増額可能となる
金利 年利18%
貸し倒れ率 0.1%以下
リンク ICICI Bank 公式サイト(英語)
ICICI銀行の企業情報と株価(BRICs辞典)

ICICI銀行では、グラミン銀行のマイクロファイナンス業務を参考に、農村部で自助グループを構成させる、連帯責任制の融資システムを構築しました。自助グループは、同じ村の女性15〜20人程度をグループとし、集金や帳簿付けを行える(即ち識字力のある)リーダーも決めます。

このグループに対して、ICICI銀行の地域マネージャーの行員が、貧困から抜け出す為には貯蓄が最も重要であること等を、徹底して教育します。

そして融資の前に、まず1年間は自助グループ内で、お互いの貯蓄を持ち合ってプール金を貯めます。医療費など緊急の出費が生じたメンバーは、自助グループ内のプール金からお金を借りるというシステムを運用します。その際にも、年利24%相当の金利を付けて返済させます。このシステムを行うことで、まずはグループ一人ひとりが、貯蓄の重要性や金利負担の重さなど、金融の基本事項を体験的に学びます。

自助グループによる連帯保証制

そして、自助グループが結成して1年以上経ち、問題なく運営されている際に初めて、ICICI銀行へ融資申請が可能になります。融資金額は各グループ25万ルピー(約50万円)=一人1.25万ルピー(2.5万円相当)です。返済期限内にグループ全員が完済することで、次回は一人1.5万ルピーまで増額可能となるなど、返済ルールを守ることでのインセンティブも発生します。

逆に、グループ内で返済が滞る人間が出る場合は、お互いに融通し合うなどして、グループ全体で返済期限を守るよう努力されます。つまりICICI銀行の自助グループは、互いが連帯保証人になる事を意味します。農村部の村社会で、しかも女性同士のグループなので、迷惑を掛けては今後の生活もままならない・・・という緊張感が、高い返済率の源泉となっているのです。

この制度のおかげで、ICICI銀行のマイクロファイナンス部門は、返済率が99.9%以上〜つまり貸し倒れ率は0.1%以下という優秀な数字です。この貸し倒れ率は、グラミン銀行など、他のマイクロファイナンス機関と比べても、突出して低い数値です(※注)。

このように高い返済率を達成することで、ICICI銀行は、元来は収益にならない「慈善事業」と見られていたマイクロファイナンスで、高い収益を上げることに成功しました。一方で、自助グループの参加資格を「家族に病人がいる」ことや「指定カーストに属する」といった社会的弱者を優先することで、マイクロファイナンス本来の使命である貧困層への手助けという面も十分に発揮しています。

※注:グラミン銀行のグループは5人程度と少なく、またグループが制約は受けるものの「連帯保証人」には該当しないことが、貸し倒れ率の差を生む要因と考えられます。


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